10.10

サニーデイ・サービスの新譜「DANCE TO YOU」買ってからずっと聴き続けている。飽きないというのは凄い。どんなに気に入った名盤でも、聴き続けていると飽きてしまう。でもまた、季節が変わった頃にでも聴き返すと、やっぱり良いなって思ったりするんだけど。


「DANCE TO YOU」は飽きないというのが凄い。でもそれは何度聴いても掴めないような、その深淵をまだまだ覗き込めていないような、そんな感覚があるからかもしれない。躙り寄っても離れていく。


一曲目の「I'm a boy」は男の歌だと思っていた。ある程度円熟した妙齢の男が、少年に戻りかつて破れた恋の破片を拾い集めるような歌だと思っていた。

僕もこのアルバムが出る少し前、ちょうど別れを体験していて、その空虚な感覚に落ち着かない日々を過ごしていた。

そのとき、この「I'm a boy」の、軽やかで、でもどこか切実なダンスビートがその座りの悪さを体現してくれていたような気すらしたし、何よりも「君のことが忘れられない 何をしても手につかない」という歌い出しが、陳腐でまっすぐな歌い出しが、ずっと心に残った。


ところが最近、曽我部さんのインタビューを読むと「I'm a boy」は北海道で小学生の男の子が置き去りにされた事件のことを描いた曲だと発言していた。なるほど、確かにそれが分かってから歌詞を読むと合点がいく。

それでも、僕があの時CDを再生した時、思ったこと、感じた気持ちに嘘はない。あの時、確かに「これは俺の気持ちだ」と思い込めた。

音楽とは、往々にしてそういうものである。思い込みでも、勘違いでも、自惚れでも、いかに自分という心に、感情を喚起させてくれるかが全てだと思っている。